展示「すてるデザイン」に行ってきました

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こんにちは、LAKA D&A webデザイナーのナカノです。

少し前になりますが、5月24日(金)から6月2日(日)にかけて開催されていた多摩美術大学と企業のプロジェクト、「すてるデザイン〜サーキュラーな社会の構築を目指して、見えてきた課題とアプローチ」という展示に行ってきました。

展示「すてるデザイン」とは


「すてるデザイン」とは、2021年度より廃棄物の課題と真摯に向き合っている複数企業と多摩美術大学 TUBの共創プロジェクトです。
この展示では、多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻と、統合デザイン学科の学生が参加したプロジェクトの中間成果である作品を紹介しています。

以下は、展示の紹介文です。

大量生産・大量消費・大量廃棄のリニアな社会では多くのモノが使い捨てられており、この流れをサーキュラー(循環型)に変えていくことが求められています。本企画展では、多摩美術大学が協働企業と取り組む「すてるデザイン」から生まれた様々な再資源化の試みをご紹介します。
まず目指すのは、ゴミとして廃棄する前にもう一度使う工夫を増やしていくこと。
また人の暮らしが自然から縁遠いものになってしまっていることも、環境問題を自分事として感じ取りにくくなる一因と考え、自然を身近に感じるための作品/情報提示も会場内で行います。
ワクワクするような楽しさや美しさ、親しみやすさをデザインの力で創り出し、人々に関心を持ってもらうこと。社会を魅力あるものにしていくことができるかにチャレンジしています。
また取り組みで見えてきた課題や、それを解消するアプローチも、本展示を通して感じ取っていただけると幸いです。

参考:「すてるデザイン〜サーキュラーな社会の構築を目指して、見えてきた課題とアプローチ」をGOOD DESIGN Marunouchiにて開催

企業と学生による、「すてる」に対する多方面からの検証や研究を重ねたプロダクトが多数展示されていました。

家庭内のゴミ捨てを考える


エコバッグやマイボトルの普及など、雑貨やファッションにおいて環境に配慮したプロダクトが増えていますが、都内では街のゴミ箱の分別の種類が少なかったり、中身が入っているのに捨てられたりするなど、捨てる行為自体に対する理解や認識が不足していることに気づきました。
これを受けて、特定のゴミ処理の現状を把握し、それに対する解決策を提供しています。

家庭から出たゴミがゴミ処理場で処理されるまでの過程を考慮し、必要なデザインが提案されていました。

詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

調査対象の街でのゴミの管理方法から、さまざまなプロダクトが生まれていました。確かにゴミを捨てるまでに乾かす手間は煩わしいですし、家庭でゴミを保管する期間に着目しゴミが美しく保管されるためのプロダクトは興味深かったです。

Material perceptiom


中古書籍などの買取販売を取扱うブックオフグループホールディングス株式会社で廃棄されるCDやDVD、ゲームソフトから再生したプラスチック資材を用いた展示です。既に「CDプラ」というブランドでリリースされています。

プラスチックは私たちの生活に欠かせない化学製品の一つですが、近年このプラスチックの廃棄による海洋汚染が問題となっています。そういった背景から、プラスチックに関して包括的な資源循環体制を強化する「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック新法)が2022年4月より施行されました。 再生プラスチック市場は今後大きく伸長すると言われており、株式会社富士経済「2022年 循環型プラスチック・素材市場の新展望」によると、2035年の市場規模は2021年比で2.4倍の3,553億円となると予測されております。

参考:ブックオフが、自社で廃棄するCD・DVDからプラスチック資材を再生し 自社ブランド「CDプラ」としてユーザーへ提供

廃棄CDという課題からプラスチックの素材を探求し、原型を残すことで愛着を感じさせるプロダクトになっていました。

詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

以前ニュースでも、開封されずに捨てられる大量のCDゴミが問題になっていました。
音楽業界では、CDを付属せずに生分解プラスチックで制作された「KiTアルバム」を販売する企業もあります。今回はCD廃棄に対する問題提起と、プラスチック素材から再生プラスチックについて分かりやすくまとめられた展示になっていました。

FOOD PACK


生活に欠かせない「食事」には必ず「フードパッケージ」がついてきます。新素材の登場から、さまざまな工夫が施されてきた「パッケージ」について探求したプロジェクトの過程が展示されていました。

衛生面だけでなく、食事をするまでの工程の配慮、食事を楽しむ気持ちや、食事後の廃棄までのストレス軽減など、「食べ物」を食べるまでの工程を分析し、多方面からアプローチされていました。

日頃からお菓子の個包装や過剰梱包が気になっていました。それらをただ無くすのではなく、食品ロスや食べやすさ、食欲を促す工夫まで研究されていて、とても興味深かったです。

他にも多くの展示がありましたが、現状把握のための調査量の多さと、一つの課題に対する多方面からのアプローチが印象的でした。
展示を見て、あらためて環境に配慮した取り組みをしていこうと感じるとともに、デザインの美しさだけでなく、使う人がより使いやすく、分かりやすいデザイン作りに取り組みたいと思いました。